私は常に嗅覚のスクリーニングになる1種類のにおいを模索してきました。具体的にはあるにおいを嗅いでそれが認知できなければある程度嗅覚が損なわれている、もしくは精査として基準嗅力検査を実施すべきと判断できるにおいです。
精油は手軽ですがにおいが強すぎて簡単に検知(何かしらにおいを感じる)してしまいます。逆に精油のにおいも全くしない程の高度障害の方はかなり少ないです。そこでお香、柑橘系、バニラエッセンスなど試行錯誤して、たどり着いたのが茶葉で、外来診療の際に、茶葉の匂いを感じる度合いと基準嗅力検査スコアの両者における相関関係を検討しました。
期間は令和4年2月〜令和5年6月で、対象はにおいが判らない、自ら嗅覚検査希望、嗅覚検査を施行すべきと判断した患者など計146名で内訳は男性51名(7〜87歳)、女性95名(17〜93歳)でした。疾患別ではコロナ37名、急性鼻炎13名、アレルギー性鼻炎24名、副鼻腔炎11名、交通事故2名、薬剤性1名、加齢26名、不明15名、鼻茸6名、感冒2名、嗅覚過敏1名、先天性1名、心因性1名、ウイルス性3名、妊娠性1名、正常2名でした。
基準嗅力検査をする前に紙コップ1/3ほどに入った茶葉(知覧茶 有満製茶)を閉眼して嗅いでもらい、どのように感じるか口頭で答えてもらいました。お茶(緑茶、抹茶、ほうじ茶も正解)と答えれば2点、左記以外の答え、何かにおいはするけど判らないを1点、においそのものが全くしないを0点としました。ちなみに茶葉以外の答えは甘い、ジュース、レモン、花、紙、野菜、木、菊の花、きのこ、海苔、粉、炭、柑橘系、コーヒー、白ワインなどが挙がりました。
結果は2点が55名、1点が31名、0点が60名でした。基準嗅力検査の結果は正常5名、軽度障害25名、中等度障害52名、高度障害32名、脱失32名でした。
右のグラフは茶葉と嗅力(基準嗅力検査における平均認知域値)、双方の散布図です。相関係数はγ=-0.524と両者は相関する結果になりました。中には基準嗅力検査は正常なのに茶葉の匂いはわからないなどの事例もありましたが、これは嗅球(におい地図)において何らかの理由で茶葉の受容体に神経投射されていない状況だと捉えていいと思います。
現在は診察の場において、嗅覚に異常をきたす可能性がある所見(中鼻道に鼻茸が充満など)や、コロナ罹患後の患者さんなどに簡単な嗅覚チェックとして施行しています。茶葉は管理しやすく(軽い、安価、冷凍庫で保存可能)、子供でも知っているにおいでもあり、何より鹿児島を代表する香りであるため利便性は高いと思っています。
宮崎でシーガイア・ラグゼに宿泊した翌日にサーフィンに家族で初挑戦!と言っても私は翌日の腰痛、筋肉痛等を考慮して辞退しました。
青島海岸は潮の香り満載です(本稿2010年4-5月号参照)。
隣接するカフェの牡蠣バーガー(芳香成分:ジメチルジスルフィド 本稿2017年8-9月号参照)が美味しかったです。
ちなみに家族の写真・動画の撮影中にスマホを海に10秒間落とし、後日機種変更になりましたが、奇跡的に既存データは全て無事でした・・。