夏休み自由研究
今年も暑い夏です!
夏と言えば夏休み、夏休みと言えば自由研究ということで、当時私もお手伝いした長女の自由研究を振り返ってみます。5年前で長女は当時中学2年でした。
- 目的
- 香りと作業効率
- 日時・場所
- 2018年8月6日〜8日、当院カンファランス室において
- 参加者
- 計19名(12歳〜84歳、男性3名/女性16名)
- 準備したもの
- 精油8種類(下記)、ムエット、ビニール袋、百マス計算用紙、VAS用紙、タイマー、ものさし、鉛筆、カメラ、コップ水、タオル、ティッシュ
- 方法
- まずコントロールとして無臭(水)のムエットを嗅いだのちに1分間で百マス計算を解く。その後レモン、ユーカリ、クローブ、ラベンダー、オレンジ、バレリアン、ベンゾイン、ペパーミントの8種類の精油のうち、当方で無作為に選出した4種類を各自でムエットに数滴垂らした後、すぐに香りを嗅ぎながら簡単な計算問題として百マス計算を1分間解く(+0と+1は省略)。1分間における正解数を計算スコアとした。また各々嗅いだ精油がどの程度好みか、好きな精油の度合いをVASスコアで検出した。
- 結果
-
好きな精油:ラベンダー75.74、オレンジ75.74、ペパーミント66.58
嫌いな精油:バレリアン10.89、ユーカリ34.42、ベンゾイン37.89
計算スコア上位:オレンジ26.55、ペパーミント26.9、ユーカリ25.8
計算スコア下位:クローブ21.3、ベンゾイン22.3、レモン24.25
Excelによる統計処理でP=0.23と好きな精油と計算スコアの両者に相関は認めなかった。
- 考察
- 好きな精油上位のオレンジ、ペパーミントが計算スコアでも良好な結果を収めたのに対してラベンダーは好成績ではなかった。一方最も嫌いな香りに選出されたバレリアンは計算スコアでは下位に属さなかった。これらの理由として回数がすすむほど計算に慣れてしまい精油の嗜好に関係なく、いい結果になってしまったのではと推察した。
- 今後の課題・感想
- 計算能力の個人差が大きいため解析方法は正解数よりも個々の正解数の差異を反映させてはと感じた。全員同じ4種類の精油にすると精油の効能を検討するのには少なすぎる。といって全員8種類にすると8回もの百マス計算は労力的、時間的に負担が大きい。計算問題はより難解だと結果に差が出にくくなるので百マス計算が適切と思う。
VAS(visual analog scale:写真)とは両端に0と100の数字を書いた10cmのスケールを用い、そこに被検者が自分の感覚で思ったところを指さし、印をつけて0からそこまでの長さをそのままスコアにする自覚的検査法です。
30年前にフェイススケールという名称で【笑顔〜とても痛い顔】の5種類を選んでもらい疼痛コントロールの指標にしたのが始まりと思われます。その後数値化するために10刻みに目盛りをつけて目盛りを指さす形式となり、その後さらに詳細な定量分析を目的に現在の形になったのだと思います。
ちなみに、においがどの程度判るかのVASをにおいVASと言います。
さて自由研究ですが上記データをまとめて台紙20枚ほどに記入、貼り付けし各々の精油を吹き付けたのですが当然の如く2学期の学校提出時にはにおいはせず、全て精油の跡が残っていただけでした…。