Sweet Smell 04-05月号

コロナ患者への茶葉を用いた嗅覚スクリーニング

コロナ検査で陽性と判明した患者は翌日から5日間の自宅待機のため、次回来院は約1週間後になってしまい嗅覚障害があっても早急な治療ができません。また嗅覚障害の平均発症日はコロナ罹患の約4日後という見識通り、陽性当日に自ら嗅覚障害を訴える患者は大変少なく、早い時期に嗅覚障害を発見するための簡便なスクリーニング法を模索してきました。

基準嗅力検査は
@時間がかかる
A患者と検者が手技上かなり隣接する
Bにおいが流れるのを防ぐ目的で窓を閉め切るため換気ができない
以上の3点よりスタッフがコロナ2次感染の可能性があるため不適です。

以前の本コラム(Sweet Smell2023年10-11月号)で茶葉と基準嗅力検査が相関する(γ=-0.524)ことはお知らせしました。そこでコロナ陽性と判明した患者を対象に茶葉を嗅がせる嗅覚検査を施行してみたので報告します。

観察時期は令和5年7月〜令和6年3月で、対象は当院での抗原検査でコロナ陽性が判明し、且つ当日、本検査が施行できた患者計267名です。年齢は10〜91歳で、内訳は男性100名女性167名でした。

検査方法ですが紙コップに入った茶葉を閉眼して5秒ほど嗅いでもらい口頭で答えてもらいました。お茶の匂いがした(抹茶、緑茶等も正解)174名、検知のみ34名、他のにおい30名、においが全くしない29名で正解率は65.2%でした。他のにおいとしては柑橘系、チョコレート、ゴム手袋、あんこ、風船、パン、コーヒー、臭い、きなこ、黒砂糖、ミント、魚介類などで、前回(通常の嗅覚障害患者)の野菜、菊、きのこ、海苔、白ワインなどに比べると、多岐にわたる答えが挙がり、コロナ罹患患者はやはり異嗅症をきたしているようです。茶葉の匂いが判らなかった患者には、手軽な嗅覚刺激療法を指導していますが、その後嗅覚障害の治療(ステロイド点鼻、薬剤)まで移行した方は3名のみでした。今後は基準嗅力検査をもっと積極的に設けたいと思います。

コロナ検査日に自覚症状として嗅覚障害を訴えた患者はわずか1名であったことからも、茶葉による嗅覚検査はコロナ患者に対する早急な嗅覚障害の判別に役立つと言えそうです。

NARDアロマ活動報告会(鹿児島)

NARD JAPANの西別府茂先生から依頼され令和5年12月にNARD勉強会で当院の「匂いと香りのセミナー」を紹介発表しました。

OSIT-J(スティック型嗅覚検査)は「ひのき」と「練乳」を出題しましたが練乳での官能表現はさすがにシナモン、ココナッツ、バター、バニラ、ミルキー、アップルなどほぼすべて正解状態でした(苦笑)。

これを機にコロナ前にもどってセミナーの活動を再開しなければと思うことでした。写真は懇親会の様子です。

倉敷と岡山

令和6年1月に訪れた倉敷は小京都の風情でした。

岡山市は中心部を離れると急に田んぼが出てきますが(失礼)、岡山駅隣接のイオンや地下街は広大でした。全国かおり100景は「吉備山陵の白桃」とのことです。

黄ニラ、ままかり、えびめしを食しました。