前回の紅茶に続いて今回は香道についての一般的知識を列挙します。
- 香の火道具(写真 左から順に)
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- 火筋(こじ)
火箸のようなもので炭団を入れたり、灰に箸目をつける時に使う。
- 灰押(はいおさえ)
香炉の灰を押して山形に整える時に使う。
- 銀葉挟(ぎんようばさみ)
銀葉と呼ばれる雲母でできた板を扱うときに使うピンセットのようなもの。
- 羽箒(はぼうき)
羽で作られていて香炉の中についた灰を掃除する。
- 香筋(きょうじ)
お箸のような形で香木をつかむ際に使用する。
- 香匙(こうさじ)
スプーンような形で香木をすくい、銀葉の上に載せる時に利用する。
- 鶯(うぐいす)
組香の際、香を焚いた後の香包を刺して止めておく針のようなもの。
上3つと銀葉とを併せて並火道具と呼ぶ。
- 香りの歳時記
- 節分は強いにおいで邪気を払う行事で、豆まきの他、柊やいわしの頭を焼いて門口に置いて臭いで邪気が入らないようにしていた。ニンニクは“忍辱”が語源。
- 香りの文化史
- 沈香の最高級品である伽羅は江戸時代には素晴らしい、素敵な、美しい、などの褒め言葉となっていた。また「伽羅を言う」とはお世辞を言う意味で、「伽羅女」とは美しい女性の事。「伽羅臭い」とは分不相応に見栄を張ってこしゃくという意味。
- 香の分類
- 香木、線香、練香、印香、塗香、抹香、焼香、匂い香の8種類に分けられる。
- 線香の作り方
- 白檀、丁子、竜脳などにつなぎとして粘着力のあるタブノキの樹皮の粉末を用いる。断面は細かな繊維であることより線香は昔は“繊”香と書かれていた。
- 誰が袖
- 優雅な名称でも知られる匂い袋の「誰が袖(たがそで)」は古今和歌集の“色よりも香こそあはれと思ほゆれ 誰が袖ふれし宿の梅ぞも”という句から名付けられた。漂う梅の香りから思う人の衣服に焚き染められたにおいを偲ぶ心を詠ったもの。
- 香料の単位
- 斤が単位で1斤は160〜220グラム。
- お香と葬式
- 明治時代、政府が武家社会との結びつきを絶つために仏教排斥運動を起こし、寺、神社から仏像、仏具を取り払った。そこで生活に困った寺院が一般庶民の葬式を取り行うようになった。
- 六国五味(りっこくごみ)
- 沈香の分類の基準。以下の計11種類がある。
六国(木所ともいう)は
- 伽羅サンスクリット語のKara(黒い)に由来。最高品位の香木。
- 羅国(らこく)現在のタイ国付近を暹羅(シャム)と称しその当て字。苦いにおい。
- 真南蛮(まなばん)他の種類よりも産出量が多いため、真の南蛮の意。
- 真那賀(まなか)マレー半島西南のマラッカが語源で、軽くて艶やかな香り。
- 佐曾羅(さそら)名称の語源は不明。冷ややかで品の良い香り。
- 寸聞多羅(すもたら)スマトラが語源だが品質はやや劣る。
五味は
- 甘(カン・あまい)
- 酸(サン・すっぱい)
- 辛(シン・からい)
- 苦(ク・にがい)
- 鹹(カン・しおからい)
の5つの味。
- 香席でのタブー
- 酒、たばこは勿論のこと、葱やニンニクの他、生花を飾るのも御法度。香を聞くのは3回までで、答えを他人に相談したり聞きなおすのも良くない。
(参考文献:「日本の香り」コロナブックス/平凡社)
以上のように、セミナーで実体験してから改めて書籍を読むと知識が再認識されます。
食のセミナーとして7月9日には「莵道竈門×Saburo-Aoki香美薬膳 〜涼的身体 口福未来〜」という堀之内夕子先生(別項 匂いと香りのセミナー参照)と創作中華料理人・青木三郎氏とのコラボイベントに参加してきました。
“蟹と広東アンチョビの炒飯 蓮と生姜の香り”(写真)が美味しかったです。