Sweet Smell 10・11月号

平成28年9月に第41回臨床家フォーラム 中四国フォーラムin下関に参加してきました。下関は以前、大洋漁業の捕鯨基地があり、鯨の町でもあります。今回はふく、瓦そばは諦めて、創業40年の老舗くじら料理店の「くじら館」を訪れました。

まず刺身として綺麗な霜降り状で知られている尾の身(尾の付け根部分)や、鹿の子(かのこ あごの筋肉)、ほほ肉を食しました。次に珍味としておば(尾羽)、百ひろ(小腸)、うちさえずり(胃)、ひめわた(食道)を。うね(腹部 筋肉が畑の畝に似ているから)やさえずり(舌)は脂が充分のっていました。くじらの臭みをより満喫できるのはやはり鯨ステーキ、竜田揚げで、ミンク鯨の赤身の茶漬けに至っては、噛めば噛むほどミオグロビンによる鯨独特のレバー臭が増してくる、“海のジビエ系”といった味わいでした。

鯨は歯を持つハクジラ(イルカやマッコウクジラ)と持たないヒゲクジラ(シロナガスクジラ、ミンククジラ)とに分類されます。前者は臭いがかなりきついので脂肪をロウソク、機械油に使い、後者は食用や化粧品に使われます。また鯨の天然香料にはアンバーグリス(龍涎香)があり、これはマッコウクジラの腸内で消化できなかった残りカスが固まった排泄物もしくは結石、病的産物などと考えられおり、“鯨糞”とも言われています。捕鯨が盛んだった頃は鯨の体内より採取されていましたが、現在は捕鯨禁止なので、海面に浮き上がって海岸に流れ着く浮遊物を入手するしかなく希少価値になっています。太陽の紫外線に曝されているうちに酸化していい香りに変化するそうです。ちなみにアンバーグリス(ambergris)とは直訳すると「龍のよだれ」で、また抹香の香りがするため“マッコウ”クジラと呼ばれます。

鯨の嗅覚についてはイルカが嗅覚を全く持たない哺乳類として知られているのに対してヒゲクジラは嗅覚をわずかに保持しています。著しく退化しているものの脳に嗅球を持ち、嗅上皮には嗅細胞があります。そして呼吸のために水面に浮上してきたときに餌となるオキアミの匂いを感知しているそうです。

上述の鯨専門店の若女将は捕鯨活動にも積極的に参加していると聞いて驚きました。なのでシーシェパードに対しても独特の思いがある様子でした。お店で鯨の大和煮の缶詰をお土産に買いました。鯨の臭いもまた貴重なる日本の食文化の一つと思います。

参考文献 : 興奮する匂い、食欲をそそる匂い/新村芳人/技術評論社
美味しんぼ第13巻 激闘鯨合戦/雁屋哲/小学館

当院の看護師(写真中央)が退職され、送別会を開きました。彼女は昭和48年より43年間、当院に勤務されていました。

隣に住んでいたので、潮干狩りに行ったり、彼女の長男とはよく遊んだりした思い出があります。仕事では医療券、補聴器などに関する部分で携わって頂きました。お疲れ様でした。

同時に今回は開院80周年の記念式典も兼ねました。先代院長(私の祖父)が昭和11年に開業して、現在は父である理事長と二人で診療しております。これからも末永く地域医療に貢献していく所存です。