Sweet Smell 06-07月号

今年も学校検診で独自の嗅覚検査を設けました。まず一校目の名山小学校ではカード式嗅覚検査の「香水」を官能表現として用いたところ、尋ねた児童全員いい匂いとの返答でした。次の山下小学校では膿性鼻汁の多かった生徒を対象に同検査の「カレー」を嗅がせましたが、一人だけにおいがしないと答えました。城南小学校では精油「ベンゾイン」を嗅がせてどうにおうか質問すると実際は甘いにおいなのに変なにおい、臭いと答えた子がいました。松原小学校では「塗香(線香)」を使用しましたが2年生で臭い、3年生でいいにおいと各々1名ずつ答えが真逆に分かれました。

今回新たに感じたことですが、学校検診では早急な受診が必要な時は診断名+A、急を要さない時は診断名+Bと定められています。もし嗅覚障害が学校検診上での診断名に含まれていたとしたらAとBとでどう振り分けるべきでしょうか。オープンエッセンスの「カレー」がにおいが全くしなければAで、何かにおいはするけどカレーとは感じないのがBでしょうか。加えて年齢における嗅覚の差異を把握するのにも役立ちそうで、やはり一番異なるのは小学1年生と6年生ですが、嗅いだ経験の差が反映していると思います。また昨今は外国籍の子も増えてきました。嗅覚が異常に思う児童はいませんでしたが、風習・慣習の差からの好みでにおい認知は異なると思います。

今年から言語障害のチェックも推奨されており施行しました。はさみを発音させると、はしゃみと聞こえる子が数名いました。自分も就学時検診で象(ぞう)を銅(どう)と言っていたのを思い出しました。尋ねても構音異常を指摘されるのが恥ずかしいのか答えない子もいました。逆に嗅覚はというと間違えても羞恥心が少ない感覚と言えるでしょう。

このように将来の子供達へのフォローは必要と思いますが、過度に感じる事もあり、政府が推奨しているこどもファストトラックは高齢者が最優先なのではと思います。またある学会で講演会場内に子供を連れてきたDrに別のDrが注意したところ学会誌に「こころない発言をした人がいた」という記事が巻末に掲載されていました。学会は子どもを参加対象にしている訳ではなく、おとなしくしていても会場内では演者に失礼ではないでしょうか。

日本耳鼻咽喉科学会に久しぶりに現地(福岡)参加して、医療機器展示ブースでにおい提示装置を見学してきました。なんと天下のSONYと第一薬品との共同開発です。

基準嗅力検査のデジタル版でタブレットで操作します。被検者でトライしましたが適度な濃度で空気汚染がほとんどなく噴霧量も適量で20年前の噴霧式嗅覚検査の時に取り沙汰された三叉神経への影響もほぼ無いのではと感じました。ただ価格200万円台はさすがに高いなあ・・と。

夜は鮨料理一高とShin-Shinに行きましたが博多だるまの方が濃厚で好きです。

GWは久しぶりに家族で熊本・大分に旅行しました。

黒川温泉、杉乃井パレス(宙館)、城島高原パークで過ごし、黒川荘では鮎の香ばしい香りに舌鼓を打ちました。

環境省の選ぶ全国におい香り100選では大分県の香りは九重:野焼きのにおいと別府:八湯の湯煙のにおいですが、熊本県の代表的な香りは私的には阿蘇:放牧している牛の臭いです。