Sweet Smell 12-01月号

獅子島探訪

夏休みに化石の島、獅子島にいってきました。

鹿児島県というと沖縄県まで南に島々が連なる印象が強いですが、獅子島は「南」の方ではなく鹿児島県最「北」端の島です。鹿児島市から獅子島行きのフェリーが出ている諸浦港まで車でなんと2時間30分もかかります。長島という大きな島を通るのですが、環境庁の選んだ日本の「かおり100選」で鹿児島県の香りとして推薦したいくらいここは毎回濃厚な潮の香りを感じます(実際選定されているのは知林ヶ島の潮風と屋久島の照葉樹林・鯖節の2か所)。

長島の北端の諸浦港からフェリーロザリオで20分で獅子島に到着し、15分かけて化石パークに移動しましたが、うっかり見逃すところでした。1人1個のみ持ち帰りが許されるので、計4個持ち帰りました。おそらく巻貝の化石と思われます。化石はさすがに無臭でした。正味1時間の獅子島弾丸化石ツアーでした。

帰りは長島大陸市場食堂で鰤王の刺身・あら煮定食を食べて岐路に着きました。後に8月26日付南日本新聞に東京都市大などのチームが獅子島で1億年前の地層で見つけた化石は空を飛ぶ爬虫類「翼竜」の骨であったという記事が掲載されました。ひょっとしたらうちの子供たちが大好きなティラノザウルスの化石も眠っているかもしれません。ちなみにティラノザウルスは嗅覚が生物学史上No.1と言われており(もちろん犬や熊にも優る)大脳のほとんどが嗅脳だったそうです。

この苦労の甲斐あってか長男が第67回鹿児島県昆虫・貝・植物・岩石展の特選を受賞しました。数年前は長女が植物採集をしており、来年(まだ次男がいます)は昆虫または貝をテーマにすると嫁に言われるのではとヒヤヒヤ、もといワクワクしています。

WEBでの口演

MeijiSeikaファルマで社内勉強会の講師を依頼されました。この種の勉強会や、コロナ禍で、もはや定番のWEB学会・講演会の視聴・参加などは、今までに数回経験はありましたが、リモートでの口演は自身初めてです。

コロナ禍となって初めての発表なので新型コロナウイルスと嗅覚障害、感染対策商品による有害事象などをテーマとしました。事前のセッティングは同社にフォローして頂きましたが、いざ話し始めてみると私のコメントに対する参加者の反応にごくわずかにタイムラグがあり衛星生中継のようで話しづらく感じました。従来の対面形式では講演や質疑応答で少々のジョーク、軽口も言えたのですがWEBだとそういう雰囲気はまるでなく、またその余裕もなく黙々と述べて時は過ぎました。

しかし私の発表におけるお約束の「参加者全員参加のスティック型嗅覚検査」はどうしてもやりたくて、事前に検査用におい紙を参加者に配ってなんとか実施しました。第1・2問は通常通りの四択ですが、第3問はフリートークとしたところ薔薇の香りに対して、「和線香」「昔の飴」「お金持ちのマダム」「お金持ちの庭の匂い」という答えが返ってきた時には画面越しに感動を覚えました。が、今後もこのWEB形式が世の中に定着していくことには懸念を感じます。