当院と自宅が居を構える南九州随一の繁華街である天文館で新型コロナウイルスの大クラスターが7月初旬に発生しコロナ窩真っただ中(令和2年7月31日現在鹿児島県患者数252名)です。
さすがにコロナウイルスによる嗅覚障害例は経験していませんが、安定化二酸化塩素を用いた空間除菌消臭剤を直接スニッフィングして、嗅覚脱失をきたした症例を経験しました。
その方は消臭剤の瓶を開封直後、何気なしに嗅いだところ突然急に電気が走ったような頭痛と吐き気をもよおしたそうです。その日は1日中気分不良が続き4日後に来院されました。基準嗅力検査で平均認知域値5.8でしたが、当院での治療にて現在はVAS:30(初診時0)と自覚的にも少しずつ改善傾向にあります。ちなみにコロナウイルスは抗体陰性でした。
病態として中毒、化学物質過敏症などが考えられると思います。ちなみに新型コロナに対する消毒として用いられている次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水とが似ているようで成分も性質も全く異なるものであることがトピックになっています。
次亜塩素酸ナトリウムは新型コロナに対するアルコール消毒液の代用品として各医療施設等でよく使用されており、塩素系漂白剤(ハイターなど)はその一つで、アルカリ性であるがために酸性タイプの洗浄剤と混ぜると有毒ガスが発生することが10年ほど前に取り沙汰されました。加えて噴霧ミストで観光客が体調不良を起こした事例や、エアコン内部の消毒に用いて金属部品が腐食し発火したケースなどが相次いで報告されており、取り扱いには注意が必要です。
一方、空間除菌でよく製品化されている次亜塩素酸水は塩酸や食塩と水を電気分解して作られている酸性の液体であり、【直接吹き付ける・噴霧装置の中を歩く・空気清浄器や加湿器での使用】などはNGです。加えて世界保健機関WHOは新型コロナウイルスへの治療効果、有効性については推奨していません。
また実態として液体の販売において製法(電気分解、混和)や原料が明記されていないものが多く、中にはなんと20倍希釈して目の除菌に(!)と広告としている商品も見受けられ、これらの消毒剤の人体への影響に対して早急に警鐘を促すべきと感じている次第です。
KYT(鹿児島読売テレビ)の「カゴニュー」という情報番組で、久木崎みなみさんによる補聴器に関するインタビュー取材がありました。
家の中でテレビの音が大きかったり、話しかけられたのに返事をしなかったりすることで、家族に勧められて受診する方が結構多いことをまず冒頭で話しました。次に難聴を放置しておくと、車のクラクションが聞き取りにくいなど、身の危険が生じ、また他人とのコミュニケーション不足より、認知症が発症し進行する可能性があることに触れました。そして最後に自分が難聴だと感じたら、まずは必ず最寄りの耳鼻咽喉科を受診し、補聴器が必要という診断に至った場合は、補聴器専門の技師がいる店舗で、自身にあった補聴器を選んで使用することをお勧めします。
特に昨今、新型コロナウイルスによる自粛にて、家の中にいることが多いので、より補聴器が必要になってくる方が多いのでは、というコメントで締めました。