Sweet Smell 06-07月号

全国的に新型コロナウイルスによる未曾有のパンデミックであっという間に大変な世の中になりました。

4月29日に当番医を担当し、当日は2ケ月以内の渡航歴や県外からの患者さんを対象に駐車場を緊急診療所代わりにしましたが、幸い1例も該当する方はいませんでした。

通常の診療はというと発熱・咽頭痛の患者さん対して防護服(レインコートで代用)、ゴーグル(曇りやすい)、布製の帽子&マスク(父の手術着)、フェイスシールド(クリニカヘッドライトを被るのに邪魔)などを着用しての診察、または投薬のみの対処としました。マスクは品薄でスタッフが早朝よりドラッグストアに並んだりしましたが、現在はアルコール消毒液同様、余り気味で院長室が備蓄部屋になっています。

一番の対応策はやはり換気なので、常に診療中は窓を開けており、プライバシーの問題もありますが中待合室もオープンにしています。また接触感染予防よりキッズルーム等は元来設けていません。今後のPCR、抗原・抗体検査の施行数増加が急務と謳われていますが、偽陽性が高いとの報告があるので必然性には疑問符が付くと思います。

耳鼻咽喉科ならではの問題点としてネブライザーと嗅覚・味覚障害の2点が露呈しました。ネブライザーはエアロゾル感染の可能性があるとのことで一時期自粛していましたが、現在はほぼ通常通り施行しています。次に嗅覚障害ですが、2月頃は急ににおいがわからなくなっても耳鼻咽喉科へは安易に受診せずに、2週間ほど自宅待機で様子をみるべきとの対応が全国的になされていたため、かなり少なかったのですが、最近は以前の嗅覚障害からの再発等で受診される方々が徐々に増えてきました。レアケースとして次亜塩素酸のディフューザーを吸い込んでしまって嗅覚脱失になった方もおり、これもコロナ禍の弊害と言えると思います。

これらの嗅覚障害の治療法は数か月が経過している症例ならいわゆる感冒後嗅覚障害(鼻疾患からの鼻閉塞のないことが前提)に相当するので、神経栄養因子(NGF)を増加させる当帰芍薬散の長期的内服となります。癌探知犬もどきのコロナ探知犬というユニークなニュースもありましたが、診療スタイル上、患者さんと接触しやすい当科はクラスターになりやすいとの報道は最も心が痛みました。あとアロマセラピーの観点からウイルス感染拡大防止としてティートリー、ローズマリー、ベルガモット、ユーカリなどの精油を用いたアロマセラピーの活用を期待したいです。

さてプライベートの方ですが5月の連休は台湾やその振替で企画した湯布院の家族旅行すら行けず巣篭っていましたが4日間、車の往来の音もほとんどしなかったのには驚きでした。ゴルフ練習場はクローズになり、ゴルフ場は一時期スループレーになりました。鹿児島は現在10名で全国的にはかなり少ないので緊急事態宣言や休校は地域性をもっと考慮すべきと思います。

ただ残念ながら鹿児島国体や各種スポーツ、東京オリンピックなどの開催中止は致し方ないと思います。ましてや9月入学制など論外です。オンライン会議・飲み会、ソーシャルディスタンスなどよりも「行きたいところに行かないなど、今までの楽しかった生活をもうしばらく自粛すること」が自分にとっての「新しい生活」と言えそうです。

注:この文章は令和2年5月31日現在であることをお断り致します。