私が実行委員長を務めた熊本総会以来、6年ぶりの九州開催となる日本アロマセラピー学会学術総会が本年11月にアクロス福岡にて開催されました。河村康司会長より実行委員を拝命され1年間計7回実行委員会参加のため福岡に通いました。理事長辞任などもあり今回もまた波乱続きで苦慮しましたが、毎回東京より御参加頂いた事務局のメイプロジェクト社にはこの場を借りて御礼申し上げます。
他にはボランティア統括部長も担いました。会場でのアナウンス、照明、クローク、弁当配布、ハーブブースなどを請け負う総勢46名(医師、パラメディカル、セラピスト)ものシフト表を作成しましたが、各人の日程調整や、業務に飽きないよう午前、午後での職務変更などには配慮しました。また座長・演者の変更や進行遅れもありうる場合を想定してのアナウンス原稿の作成にも着手しました。
プログラム面では学会初の耳鼻咽喉科シンポジウムを企画しました。私、柴田美雅先生(産業医大)、久保英彦先生(九州大学)がシンポジストで、座長を福岩達哉先生(南さつま市)にお願いしました。
私は「耳鼻咽喉科医としてのアロマセラピー」として当院でのアロマ風景、アレルギー性鼻炎に対するティートリー蒸気吸入、ティートリー精油を浸した綿棒を外耳道真菌症に用いた使用経験に加え、他施設からの報告としてユーカリ精油50%アルコール溶液をカーペットに噴霧したところヒョウヒダニが軽減したという服部彩樹先生(岐阜市)のデータも併せて報告しました。アレルギー性鼻炎に対する原因療法としてのアロマセラピーになりうると思いました。恒例のにおいスティックを参加者全員に実践した(バラ、練乳、墨汁)後に、アロマセラピーを耳鼻咽喉科で普及させる思案を述べて終了としました。
質疑応答として、
@蒸気吸入器にではなく通常のネブライザーにティートリー精油を加えればいいのではないかの質問には高温の方がにおい受容に大きな役割を果たす。
A苦労した、または気をつけている点はとの質問にはティートリーのにおいの好き嫌い、吸入時の咳嗽などより吸入治療を無理強いしないことと、医薬品ではないので効果効能のアピールには注意していること。
Bうがいは精油なので粘膜に対して問題はないのかの質問には含嗽なのでもちろんコップの水に精油を入れてから口に含ませていると、各々返答しました。
学会終了後、学会本部より来年度の学会誌でのシンポジスト企画としてシンポジスト3人の推薦論文の依頼がありました。立ち見がでるほどの盛況でしたし、耳鼻咽喉科が高く評価されたことは今後のステップに向けて嬉しい報告となりました。
今回はセラピスト仲間の一般演題発表にも協力し、永田江利加さんの「病院役職者に対するストレス緩和ケアの実践」の研究デザイン、スライド作成に関わりました。計画的に早めに作成させ、文献を数多く読破させたためか、発表も無事に終えられたようです。
また一般演題における40歳以下のエントリーを対象とした学会奨励賞を設けて懇親会で表彰式も行いました。来年以降も是非続けてもらいたいです。
他には所澤いづみ先生のトリートメントセミナーがあり、当院の谷口薬剤師が実演での施術モデルで登壇しました。本人はモニターを直視できないので、施術を受けながらの先生からの質問には答えづらそうでした(笑)。
演題はほとんど聞けませんでしたが、聴講できた中では神保先生の一般演題「アンバーグリスの成分分析と熟成による影響」と西別府友香さんの「熊本震災での継続的なアロマセラピー支援活動における考察」が印象に残りました。
今回も当院スタッフを5名、ボランティアとして連れて行きました。当日受付、事前受付、ランチョン整理券配布、会場案内などを担当してもらいました。スタッフには折角の連休のところ申し訳なかったですが、いい経験にはなったと思います。
様々な事情・背景のため6年前の熊本総会より参加者数や出展ブース数は減少し、当日座長の連絡トラブルで5分前に急遽代役の座長を決定するなどのハプニングもありましたが、プログラムは時間が押すことなく極めてスムーズに進行し、参加者からのクレームもほとんどなかったのは収穫でした。
委員会では何度も意見を戦わせましたが、おおらかな河村先生、cool and dandyな小菅先生、博識な久保先生、百戦錬磨の神保先生、入江さんの母性愛、何事にも前向きな川畑さん、文才の上水樽さん、組織力に長けた岩橋さん9名全員の「ワンチーム」でした。
しばらく皆に会えないのは寂しいですが、懇親会のゴスペルグループ「ザ・ソウルマチックス」の替え歌の如く実行委員会は「ひとりぼっちじゃない」という思いを抱きながら、このメンバーでいつの日かまた仕事したいと感じている今日この頃です。