第12回NARD主催ケモタイプアロマテラピー九州勉強会「嗅覚とアロマテラピー」を福岡開催の以来3年ぶりに口演させて頂きました。今回の会場は熊本市内の「アロマテラピー西別府」で、ヨーロピアン調の建物は周りの震災余波の雰囲気が残る街並みの中に佇んでいます。店内はアロマ関連グッズ、キッチン用品、そしてなぜかガイコツまで所狭しと並んでいます(写真)。各々の学会・団体で表記が異なるので、スライド作りには気を使いました。すなわち日本アロマセラピー学会は「アロマセラピー」「ティートリー」であるのに対して、NARD JAPANは「アロマテラピー」「ティートゥリー」です。内容は1)嗅覚の解剖と生理、2)嗅覚障害の原因・検査・治療、3)認知症と嗅覚障害・アロマセラピー、4)スティック型嗅覚検査施行、5)アレルギー性鼻炎とアロマテラピー、6)匂いと香りのセミナー報告です。また講話だけでは飽きるので、消毒用エタノール(リトセア、ペパーミント、ラベンダーの精油入り)、アリナミン、ローズマリー、バレリアン精油、芳樟(指宿市開聞山麓香料園のハーブウオーター)、塗香を鹿児島から持参して嗅いでもらいました。
質疑応答のまとめの一部を列挙します。@超音波ネブライザーは抗生剤水溶液が少し臭うので、においのマスキングとして当初はバニラエッセンスを1滴加えていた。その後代わりにベンゾイン精油を数回試したが、粘度が高くて器具洗浄が困難であり、また抗生剤に精油を混ぜるというのは薬剤安定性、配合変化などが懸念されるので、現在は何も入れていない。Aアスペルガー患者には聴覚過敏同様、嗅覚過敏も多い。B似たようなにおいを嗅ぎ続けると嗅覚疲労ですぐにおいを感じなくなるので、できるだけ違うにおいを嗅いだ方がいい。Cドリアンは嗅ぐと臭いのに口に含んだ時の後鼻腔からの香りでは異なったいいにおいに感じた。その理由はにおい濃度が増すことによる質の変化と思われるDソムリエなどはにおいの官能表現においては記憶で答えているところがありf-MRIでは海馬が中心に描出されるのに対して、学生が答えると島皮質が中心に描出されるという報告がある。Eホルモンの関係で妊娠もアレルギー性鼻炎の原因になる(妊娠性鼻炎)。
遠くは兵庫からいらした方もいるように、通常の参加者の熱意は強く通常の医学系学会よりも質問が多いのにはいつもながら感嘆します。
八重桜のフリーズドライを貰ったのでお澄ましにして飲みましたが、いい香りでした。しかし桜の花弁はほぼ無臭であり、俗に桜の香りと言われているのは桜の葉っぱ(クマリン)です。これは梅酢漬けでしたので、梅と酢(酢酸エチル)の香りを嗅いでいることになるのかなと思いました。
桜の香気成分については本稿2011年4-5月号に記載しています。
KYT(かごしま読売テレビ)と補聴器のヨネザワから毎週土曜朝放送のローカル情報番組「ユメイロ」の出演依頼がありました。田上真澄アナを相手に、会話の聞き間違いは老人性難聴の兆しで、家族との会話の減少より孤立化して認知症にもなりかねないので、自身に適した補聴器が必要という内容でインタビューに答えました。オンエアが楽しみです。