Sweet Smell 04・05月号

私は缶コーヒーが大好きです。海外旅行にも持っていくほどで日本の誇る発明品と思っています。1日3〜4本飲みますが食事量も減るので10年で7kg落とし、自分では「缶コーヒーダイエット」と称しています。冬場でも冷たいのが好みですが、風味が変わるのが嫌なので、贅沢ですが空けて10分したらもう飲みません。ちなみにチルドカップコーヒーや通常のホット・アイスコーヒーも好きですが、缶入りブラックコーヒーは嫌いです。

各種缶コーヒーを自分の好みをもとに列挙すると、「贅沢微糖」(糖質含有量7.5g、牛乳、コーヒー、砂糖、乳製品、デキストリン、カゼイン乳化剤、香料、甘味料)は甘さ控えめで飲み心地は最高です。「レインボーマウンテン」を含めたこのBOSSシリーズ(サントリーフーズ)が最もお気に入りです。「Fire挽きたて微糖」(キリンビバレッジ)は時間の経過とともに心地よいローストなにおいに変化します。「金の微糖」「モーニングショット」(アサヒ飲料)などのWANDAシリーズはココナッツ風味が強く少し甘いです。タリーズはシアトル系コーヒーのためか甘さは意外と控えめで、「劇的微糖」(伊藤園)はミルクティーっぽいです。また缶コーヒー生みの親の「UCCミルクコーヒー」(UCC上島珈琲)や「珈琲たいむ」(ヤクルト)は甘すぎます。ポッカ、ダイドーは味が薄いというより缶コーヒーとしては違和感があります。日本で一番の売れ行きの「ジョージア」(コカ・コーラボトラーズ)は時間が経つとタバコ臭くなると思います。概して言えることは缶コーヒーは他の飲み物よりもレトロネーザルな香りや時間経過しての風味に左右される気がします。

コーヒーは香り成分や香りの効果効能などの論文が数多く見られるのに対して、“缶”コーヒーではかなり少ないのが現状です。コーヒー飲料とは基本的にコーヒー豆を原料としてこれに糖類、乳製品、乳化した食用油脂を加えたものです。缶コーヒーの香気成分は甘い香りのフラン類や、カラメル臭のシクロテン、マルトールなどが高濃度に見られますが、充填時の高温高圧での滅菌や出荷後の長期間の加温のためにこれらの香気成分が分解され微妙な風味の変化をきたしてしまいます。最近、コーヒー焙煎豆に水を加えて蒸留抽出して得られる成分のうち、特に沸点の高いγ-ブチロラクトンとフルフリルアルコールにコク感を増強する効果が見出されたそうです。また缶コーヒーの風味の一つになんとアルコールがあり、深煎り、荒挽き、炭焼き、直火、いずれにおいてもエタノールとイソプロパノールの2種類が入っているそうです。いつしかレギュラーコーヒーにブランディー、ウオッカ、ウイスキー(あと砂糖と牛乳?)を加えての手作り缶コーヒーを作ってみたいものです。

PS:風味の感想はあくまでも私の主観であることを各関係者方々はご了承ください。

<参考文献>
味覚センサ・匂いセンサを用いた缶コーヒーの風味評価に関する研究/
佐藤恵理子/日本味と匂学会誌2008年12月
トコトンやさしい!においとかおりの本/倉橋隆/日刊工業新聞社
キリンビバレッジホームページ