昨年末のことですが、鹿児島市中央地区学校保健研究協議会に出席ました。と言っても定期的に学校の会議室で行われる先生や保護者20人ほどの保健委員会ではなく、地区内の8学校から成る年1回の大規模な総会です。今回、耳鼻咽喉科学校医としての指導助言を依頼され、折角の機会なのでマイクトークやパワーポイントでのスライド発表のみなどよりも、参加者が全員参加できる嗅覚検査を実際に体験してもらった方がよりアピールできるのではないかと考えました。そこで私に与えられたわずか5分の持ち時間で250人もの参加者に対して一斉に行えること、準備にかかる手間などを考慮してスティック型嗅覚検査を施行した上で、匂いの大切さを参加者にアピールすることとしました。
準備の方はさすがに大変でした。まず本来の検査項目数である12種類はとても時間が足りないので2種類(2問)としました。また回答の形式は個別に検査するのではなく、スライドに提示した4つの選択肢の中から1つを選んで、全員一斉に挙手で正誤を判断する方法としました。
あとはどの2種類を選ぶかです。「カレー」「蒸れた靴下・汗臭い」だと、体育館にカレーのにおい、悪臭がこもる心配があり、「メンソール」「墨汁」は今までの診療における経験上、年代で正解率にバラつきがある印象があり、また「香水」は香水というより少し石鹸ぽいニオイなのでこれらは却下としました。また「ばら」「練乳」「みかん」「家庭用ガス」などは特徴的なニオイのため通常の診療で頻回に使用する種類なので、今回の1回きりで大量に消費するのはは勿体ないとの思いでこれらもはずしました。最後に2問中、易しい1問目の問題として「炒めたにんにく」を選び、次のやや難しい2問目として全12種類の中では「ひのき」と「材木」がにおいが少し似通っているのでより難しい方と思われる「材木」を選びました。
この選んだ2種類を用いて前日にスタッフに250人分、すなわち計500枚もの"におい紙"を作成してもらいました。においスティックを500枚もの濾紙へ塗布する作業と、そのままだとベトついて互いにくっついてしまうので、濾紙を半分に折って8校各々の参加人数分に分けて小さなビニル袋につめる作業とで、かなりの労力だったようです。ちなみに1本のスティックでなんとか足りました。
本番では「炒めたにんにく」「材木」ともに意外と皆さんの正解率がかなり高くて少しびっくりしました。火事の煙が判らないなど嗅覚障害は生命の危険があるので、嗅覚検査を積極的に受けるべきということでまとめ、5分弱で終了できました。さすがに少し早口になってしまった感はありますが、いい経験になりました。今後定期化(?)したいです。
昨年12月に第17回日本アロマセラピー学会学術総会に参加しました。会場はパシフィコ横浜で統合医療学会とジョイントということもあり医療機器展示、ポスターセッションは本学会にしては大規模でしたが、企画内容、懇親会などはオーソドックスな内容でややオリジナリティに欠ける印象でした。今後の学会の取るべきスタンスとしては、物事を決める際には良識に基づいて善悪を客観的に分別・判断し、一人一人が自己保身に流されることなく毅然とした態度で意思表示することがまずは喫緊の課題と感じています。