Sweet Smell 8・9月号

連休を利用してハウステンボスに行った際、パレスハウステンボス内のハウステンボス美術館にて「香りとファッションの美学展」が開催されていたので見学してきました。

香水の歴史は深く、紀元前2000年古代メソポタミア、エジプトにて「香を焚く」ことから始まりました。その後、液体や軟膏状の香りを貯蔵するための容器が必要となり、香水瓶が誕生したそうです。

香水瓶には各時代の最新の技術と、時代を象徴する装飾とが施され当時の生活スタイルが垣間見れます。特にフランスにおける19世紀末から第一次世界大戦勃発までの期間は退廃的な華やかさと新しい時代への幕開けを感じさせる享楽的な陽気さとが混在する古き良き時代"ベル・エポック"(Belle Epoque)で、馬車から車へと女性の活動範囲も広がりそれまでの重厚な香水瓶から女性が持ち運びやすい美しい香水瓶へと変化していきました。

同じ頃、近代香水の礎を築いたゲラン、コティといった香水商の誕生により香料は香水へと変化を遂げ、彼らが生み出した名香とガラス工芸家たちが創り出したエレガントな香水瓶は当時の貴婦人の心を魅了し、また独自性を創り出す装いをシンボル化するためにブランド概念が固定してきました。今回の美学展の18世紀末から、20世紀末までの洗練された香水瓶や、現代にかけてのファッションアイテムに関わるブランド香水瓶などは総じて目を見張るものがありました。

その中でも見どころの一つとしてマリー・アントワネットが愛した香りの体験があり、如実に再現された香りをムエット紙にて嗅いでみました。内容はローズアブソリュート、ローズオイル、バイオレットアブソリュート、ベルガモットレモンなどで、重厚で高貴な雰囲気の香りでした。

アブソリュートとは天然植物より溶剤抽出法にて抽出された芳香物質(または精油)のことで、Absと記され、溶剤抽出法そのものもアブソリュートと呼びます。その工程はまず原料となる天然植物と揮発性の高い有機溶剤(ペンタン、ヘキサン)とを混ぜ、室温で攪拌して芳香物質を有機溶剤に移してから原料植物を取り除き、低温減圧下で有機溶剤を揮発させると、芳香物質とワックス(蝋)等の炭化水素とを含んだバター状の物質であるコンクリートが残ります。このコンクリートにエタノールを加えて、溶解されずに残るワックスや不純物を取り除いた後、再度低温減圧下でエタノールを揮発させて、取り出した芳香物質がアブソリュートという訳です。

もう一つの香り体験として、フランス皇帝ナポレオン1世妃 ジョセフィーヌ・ド・ボアルネが愛した香水「JOSEPHINE」もあり、トップノートとして、まずライチ、ユズなどの柑橘系、そしてミドルノートとしてラベンダー、ゼラニウム、ペオニー(芍薬)、最後のベースノートとしての白檀、ムスク(麝香鹿)など様々な香りの変化があり、私と8歳になる長女はこちらの方が好みでした。

他にはSAMSARA(古代インド語サンスクリット語で"輪廻転生"の意/ゲラン/フランス/1989年)など数多くの歴史ある香水が100点ほど陳列してあり、その最後に「レディーガガ」という商品を見つけました。コロン、トワレでなく、彼女のイメージ通り、勿論パフュームで、香水瓶からして彼女の立ち振る舞いを髣髴させるボディコンシャスなシルエット、色彩(黒&黄)が印象的でした。写真撮影禁止のため、このページでは香り同様、皆様にお伝えできないのが残念です。

帰ろうとした時、私が若い頃愛用していたGIVENCHYの「ULTRAMARINE」が目に入りました。まさか自分が愛用していた香水が香水100選(自称です)とは驚き且つ嬉しくもあり、懐かしさ満載な思いで帰途に着きました。20年前のバブル全盛が私にとっての古き良き時代"ベル・エポック"なのです。

2013年6月2日(日)にアクロス福岡にて本年度の九州地方会が開催されました。当日のプログラムを示します。

ツボの臨床応用例―ツボ注入
堀田秀一先生(九州地方会会長・香林堂クリニック院長)
ツボ・経路のアロマへの応用
志茂田典子先生(学会理事・AR乃木坂鍼療室院長)
日本アロマセラピー学会―新体制と今後の展望について
柴伸昌先生/神保太樹先生(将来計画委員会会長・委員)
10/13・14熊本総会(緩和ケアとメディカルアロマセラピー)予告編
谷川富夫先生/江川雅彦(熊本総会会長・実行委員長)

スライドを用いて熊本総会の見どころをアピールし、反応も上々でした。前日の6月1日には実行委員会を設けて学会本部と総会実行委員とで綿密な打ち合わせをしました。総会を成功させるべく両者一丸となって取り組んで行く所存です。

この日本アロマセラピー学会熊本総会の概要を知りたい方は学会HPを御覧下さい。