Sweet Smell 10・11月号

東京のパークハイアット新宿にて、来る10月14日熊本における日本アロマセラピー学会市民公開講座に出演予定の大橋マキさんと最終打ち合わせをしてきました。写真は左からマネージャーの増賀さん、大橋さん、司会の小山めぐみ先生です。

大橋マキさんはフジテレビ退社後、英国に留学して植物療法を学び、IFA認定アロマセラピストを取得されました。 都内の病院で6年間アロマセラピストとして従事し、現在はアロマコンサート「香音の時」でのアロマ空間演出、新宿リビングデザインセンターOZONEでの「暮らしの中の香りデザイン」(打ち合わせ当日も同イベント中)、また香りによる企業ブランディング、介護のためのアロマ、社会福祉・大学・自然農園でのソーシャルファーミングなど様々なプロジェクトに取り組んでいます。またホワイトリボン運動に賛同し、アロマワークショップやグッズ製作に関わるなどチャリティにも力を入れています。

2008年からは自身が調合するアロマブランド「aromamora」を立ち上げ、また2012年には鎌倉山での自然農園・ハーブ・アロマのユニット「Erbosteria Kamakuraya」を結成されました。2013年にはアロマとSNSとを融合させた史上初の試みであるAromalize Projectをrhizomatiksと共同で開発するなど多忙を極めています。

著書には「旅するように。逗子葉山暮らし。」「アロマの惑星」「日々香日」「セラピストという生き方」、翻訳書に「ハーブティーバイブル」などがあります。

一般的に最近の学会における市民公開講座はというと、芸能人、地元の名士などが多く、確かに普段聞けないような話が聞ける貴重な機会ではありますが、その学会の本質から少しかけ離れているのではとも思うことも度々です。しかし大橋さんは著名人でありながらも積極的なイベント活動やオリジナルな仕掛けを次々と呈している歴(れっき)とした"アロマセラピスト"であるところが抜擢した理由の一つです。

また4年前に地元で飲んだハーブティーがきっかけで、蒸留器を担いで畑に行ったところ、精油よりも優しい香りの芳香蒸留水に出会い、その縁で山口大学農学部生物機能科学科の赤壁善彦教授と共に成分分析、生理的実験を行う機会を得ました。その結果、ホーリーバジルの芳香蒸留水において覚醒・鎮静効果を認め、大橋さんはaromatopia109号に「ホーリーバジルがつなぐ介護現場と地域コミュニティ」というレポート報告を、また赤壁教授はAROMA RESEARCH(vol13.No1.2012)にて論文「バジルの芳香蒸留水の香りによるヒトへの生理応答へ及ぼす影響」を各々発表されました。このようなデータ構築も医学系学会である本学会に適していると判断したもう一つの理由です。

これらの医学的見地、病院での活動、自身のアロマ講座、野山での植物採集、ブレンドマシン(上記SNS)開発などをスライドを用いて、市民公開講座(トークショー)の主な内容としようということで話がまとまりました。

小さなお子様がいらして、熊本は遠方ということもあり、学会参加については初めは少し懸念されたご様子でしたが、とにかく上記の理由を粘り強く力説して交渉した甲斐があったと思います。今ではいつも目を輝かせて自分の考えている事を語るaggressiveなイメージを持っています。そして私も来る10月14日を心待ちにしている一人です。

去る6月に長崎で開催された九州連合地方部会学術講演会にて「鼻アレルギーに対するティートリー蒸気吸入(アロマセラピー)の有用性」を発表しました。

県外における耳鼻咽喉科関連の学会での口演は初めてでしたが思いのほか質問を多く頂き、意外な反応を感じました。将来は興味を持った先生方に耳鳴、めまい、咽喉頭異常感症などの当科疾患においてアロマセラピーが臨床応用される日が来ればという思いです。

写真は一二三亭の"おじや"です。
小泉武夫氏がグルメ雑誌で絶賛していたので、長崎ちゃんぽんでもなく、卓袱料理でもなく、このおじやを一番の目的に来店しました。

見た目は飾り気がないですが、すり胡麻(香り成分ピラジン)とネギ(香り成分アリシン=硫化アリルの一種)の匂い、少し卵黄を含んだお米のとろみ、ダシ汁のうま味に独特な調和を感じました。

お店の女将に鹿児島から来たと伝えると「鹿児島新幹線は早くて便利かもしれないが、トンネルばかりで風景がつまらないのでもう乗らない。だから長崎新幹線も要らない」と、おじや同様、飾り気の無い言葉が返ってきました。これもまた長崎の人情なのでしょう。