先日、名古屋のDrに誘われて、日本鼻科学会に行ってきました。学会場の名古屋国際会議場は迷子になりそうなくらい大きな建物でした。今回の一般演題では特に以下の4題が印象に残りました。
- "嗅覚脱失例におけるn-プロピルメルカプタン認知検査" (群馬大)
アリナミンの代謝産物であるメルカプタンを"吸気"の嗅覚検査として用いるのはなかなか面白い試みと思いました。
- "嗅神経におけるヒスタミンレセプターの役割" (藤田保健衛生大)
鼻アレルギーによる嗅覚障害はこれまで、下鼻甲介の腫脹による"呼吸性嗅覚障害"がほぼ常識ですが、その概念を大きく打ち破りそうな画期的な研究と思います。とりわけ異嗅症との関連が示唆されるとのことです。
- "嗅粘膜における性ホルモン受容体の発現と分布に関する免疫組織学的検討" (東大)
エストロゲンβ受容体がボーマン腺に、プロゲステロンが支持細胞に認められたとのことで、嗅細胞ではないのですが、生理周期や妊娠における嗅覚の変化の解明につながりそうです。嗅粘液が関与か?
アロマセラピーに関する演題も3題ほどでていました。
- "スギ花粉症患者へのアロマオイルネブライザーの応用" (伊藤耳鼻咽喉科)
市販のと、自作の精油とを各々使用しているそうです。治療効果の差はどうでしょうか。
今回は学会懇親会の後で、嗅覚臨床・研究に携わるDr達の食事会に招かれて総勢20人以上で、盛り上がりました。
嗅覚は学問的には耳鼻咽喉科領域では耳科学に比べるとマイナーなのですが、逆に全国的な繋がりができたのは幸いで、こういう輪が更に広がればと思っています。ただ、嗅覚や香りをテーマにした名古屋市科学館に行けなかったのが心残りでした。