第31回 平成23年4月15日(土)19:30〜22:00
焼酎と香り実践編 (天文館:笑福)
料理を頂きながら、大口酒造:神渡巧研究室長、瀬戸口智子研究室員、他2名のスタッフの監修・準備協力のもと、当セミナー(食事会形式)恒例の香り当てクイズを過去最多の3問実施しました(参加者40名)。
▼クイズ1
▼セミナー全景
▼神渡巧先生
■■ クイズ1 ■■
この焼酎は後ろの3つの焼酎のいずれと同一か、匂いのみで選択。
正解 : 330名以上正解
(3)は柑橘的香りのリナロールや薔薇や紅茶のような香りのβ-ダマセノン(通常の10倍)、トロピカルフルーツや花の香りのβ-イオノンが高濃度に含まれている。
→クイズ用コップに専用のフタが付いており、また少し時間が経過する(準備からクイズまで1時間ほど)ことにより、香りがよりこもり、ニオイ判定に有用だったと思いました。
■■ クイズ2 ■■
焼酎の匂いを嗅いで、香りを自分の言葉で形容する(ダイチノユメ焼酎:同)。
正解 : 果物のみかん・レモンなどの柑橘系表現がより近かった6名が正解
→同じものを選ぶ、においの種類を選択するといったクイズ1・3のような“同定検査”よりも自分で考え、表現して答える“識別検査”である当クイズが最も各個人の嗅力が発揮された問題であったと感じました。
■■ クイズ3 ■■
匂いを嗅いで、その焼酎の原料をサツマイモ、麦、キャッサバ、マスカット、ライチの中から一つ選ぶ。
正解 : サツマイモ全員不正解
芋焼酎の匂いとマスカットなどの匂いは同じモノテルペンアルコール(以下MTA:リナロール、ネロール、ゲラニオール、α-テルピネオールなど)という香気成分より形成されている。この製品は通常の製品よりMTA濃度が高いためフルーティな香りを持っている。
→事前の大口酒造との打ち合わせで答えは“サツマイモ”と知らせられ、単純すぎるので他の問題をと打診したところ、敢えてこれで推したいという返信メールが返ってきました。
微生物・害虫によるストレス芋は忌避作用のある香りを産生し、これにはより多くのMTAが含まれるという当研究室の業績をアピールする狙いが理解できました。今回はクイズというより、一種の官能試験レベルであり、貴重な体験となりました。