Sweet Smell 04・05月号

日本アロマセラピー学会九州地方会

川畑真希子実行委員長のもと、3年ぶりに九州地方会を宝山ホール(鹿児島市)にて開催しました。

患者に対するアロマトリートメントを実技講習として所澤いづみ先生に、また鹿児島における天然香料小史を開聞山麓香料園園長の宮崎泰先生に、脳神経疾患に対する匂いの応用を神保太樹先生に各々特別講演頂きました。

以下は一般演題です。

重心児・者に対する頸部トリートメントの検討と今後の展望

はまゆう療育園小児科 小菅浩史先生

頸部呼吸補助筋群へのトリートメントをバルサムモミ、マジョラム、イヌラ、ブラックスプルースを用いて施行し、気分プロフィールなどで改善が確認された。

両下肢浮腫みに対する芳香蒸留水の効果の検討

やすなが整形外科 安永悦子先生

グランドファーハーブウオーターをクレイと共に用いたところ、コントロール群と 下腿周径に有意な差は認められなかったが、概ね被験者の自覚症状は好評であった。

女性医療の中のアロマセラピー〜関連学会の中でのアロマセラピーの伝えられ方〜

あすなろ薬局 岩下弘美薬剤師

日本女性医学学会のこの10年間の歩みとともにアロマセラピーのEBMの重要性を再認識した。

整形外科患者におけるアロマセラピーの有効性と問題点を考える

天神南クリニック 入江愛理学療法士

将来的には自院でも疼痛に対してアロマセラピーを導入していきたい。

リモネンの特性と香りの持続性

すばる薬局 谷口欣平薬剤師

抗酸化剤トコフェロールニコチン酸エステルをグレープフルーツ精油に加えると10分後は対照群よりもにおいが持続した結果が得られたが有意差は認められなかった。

スポーツアロマセラピーによる選手ケア 甲子園帯同報告

メディカルセラピーサロンレイライン 川畑真希子看護師

2009年より硬式野球部の専属コンディショニングトレーナーとしてスポーツアロマを取り入れており、開発したレモングラス精油は国民文化祭実行委員会会長賞を受賞した。

地方会主催は2回目です。
地方会レベルでも講演者や会場の選定、打診、打ち合わせなど時間と労力を要します。また備品の準備やPC関係も不備が生じないよう気を揉みます。

しかし難しいのはやはり当日の受付だと思います。早々にスタンバっているのに開始時間近くにならないと来場者が増え始めないというジレンマ(当然なのですが)に加え、申し込みに関する不具合や互いの行き違いなどより小さなトラブルが2〜3ほど生じて、その処理に時間を取られます。

今回でもうコリゴリと思っていた矢先、会場撤収後の川畑実行委員長の「また開催したくなりますよ」の笑顔の一言には忸怩たる思いでした。

嗅覚冬のセミナー

全国の嗅覚を専門とした耳鼻咽喉科医の更なる知識増幅と交流を深める目的にて一昨年より開催されている勉強会で、今年は群馬県伊香保温泉にて開催されました。

一般演題「匂いと香りのセミナーに見る嗅覚啓蒙のコツ」

江川雅彦 江川耳鼻咽喉科

私も3回目の参加にてようやく発表しました。内容が希薄で恐縮する思いでしたが、意外や@テーマはどうやって決めているかAコストがかかるのではB各テーマで取り上げているにおい成分などはどうやって調べているのかCアナウンスの方法はD参加者の層はE開催場所として院内と院外との比率は、など多くの質問を受けました。

特別講演「レジェンドに聞く〜T&T開発の歴史」

吉儀英記 高砂香料株式会社

T&Tオルファクトメトリー(基準嗅力検査)の5つの検査薬の選定理由としてフェニルエチルアルコール(A)、メチルシクロペンテノロン(B)、イソ吉草酸(C)、γ-ウンデカラクトン(D)、スカトール(E)の他に、酢酸、ジアリルジスルフィド、エキザルトリッド、カンファー、フェノールの計10種類のうちで、閾値の分布ピークの偏りが顕著だと不適当、域値のバラツキの小さいもの(再現性)が測定値の誤差を最小限にするために適当、良いにおいと臭いにおいとを交互に入れて嗅覚疲労の誤差を少なくする、ことなどが考慮された。ちなみにBだけが濃度4までしかないのは溶解性の問題。

特別講演「T&Tの製造法と様々な用途について」

第一薬品 深澤雄二郎

基準嗅力検査の試薬ビンは貴重なので捨てないことが望ましい。また検査試薬は医療機器扱いなので、バラ売りすることはできない。

特別講演「喉頭摘出術患者の嗅覚トレーニング」

名古屋女子大学 片山直美

術後は吸気できないため、嗅覚障害が示唆されているが、嗅覚機能は保たれているため、(自覚的に?)2〜3ケ月後には回復すると言われている。嗅覚リハビリテーションとして口を閉じて生あくびをする所作のNAIM法がある。

特別講演「嗅覚リハビリテーションについて」

高知医大 奥谷文乃 / 慈恵医大 森恵莉

ドイツ・ドレスデン大学の方法に沿って、嗅覚障害の患者がバラ、ユーカリ、レモン、クローブの4種類の精油を1日2回15秒間嗅ぐというリハビリ法。しかし私は日常生活上のにおいの方が馴染みやすいのでは、購入に対しての金銭的負担、高齢者にアロマ(精油)が受け入れられるか、などの点を懸念しています。しかし嗅覚・アロマセラピー普及のためにも早急のエビデンスの確立を願っています。

今回は私(と幹事の先生)の部屋が2次会となったこともあり、深夜まで嗅覚や医療の話に花を咲かせました。他大学の若手の先生方と話をすることは滅多にないのでいい機会となりました。

渋川市伊加保町水沢で作られる水沢うどんが日本3大うどんとは知りませんでした。写真は田丸屋の布袋様福膳です。うどんは透明でシコシコした弾力があり、太さや硬さは讃岐と稲庭の中間くらいでしょうか。モチモチ系では私は細麺で甘いタレの戸隠、重乃井などの宮崎うどんが好きです。