平成27年9月に札幌で開催された日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会総会で口演してきました。「アレルギー性鼻炎に対する温熱療法を用いたアロマセラピー」の演題名でアレルギー性鼻炎に対するティートリー精油を用いた蒸気吸入という内容です。
質疑応答ではいい匂いを嗅いだことによる情動に働き掛けての効果か、それとも精油そのものが持つ薬理学的な効果なのかとの質問がありました。「自分としては前者(嗅粘膜からの嗅覚を介して)ではなく、後者すなわち鼻腔粘膜からの血管系を介して薬理学的に作用しているのではないかと考えている。その裏付けとして今後、鼻アレルギーで嗅覚障害(呼吸性ではなく嗅粘膜性として)のある患者に対して嗅覚障害の程度とティートリー蒸気吸入による症状改善との相関を考察できればと思っている。しかしにおいの臨床研究なので二重盲検試験は極めて難しいなど、ハードルはかなり高いと感じている」と返答しました。座長の先生からはエアロゾル学会としてはアロマセラピーという新たな分野としての参入は新鮮で喜ばしい限りという旨のコメントを頂きました。
ネブライザー療法は全国ほとんどの耳鼻咽喉科にて毎日施行されており、そのため今後の喧伝次第では吸入法としてのアロマセラピーが広まる可能性があるのではと感じています。今後は日本アロマセラピー学会における耳鼻咽喉科医の学会員増と、エアロゾル学会の将来に少しでも寄与できればと思います。
続いて11月には日本アロマセラピー学会学術総会のシンポジウムで「耳鼻咽喉科領域におけるアロマセラピー」の演題タイトルにて@当院におけるアロマセラピーA耳鼻咽喉科における他施設のアロマセラピー報告B基礎研究の重要性と今後の耳鼻咽喉科の啓蒙の在り方を講演しました。
アロマセラピーはこの10数年で全国の臨床の場において定着した感がありますが、内科、産婦人科、精神科、整形外科そして緩和ケア科などに比べると耳鼻咽喉科においてアロマセラピーが普及しているとは言い難く、また世間的にも両者は関わりに乏しいと思われがちです。けれども当科とアロマセラピーとの関連性は多く、その最もたるものが「嗅覚」と上述した「ネブライザー」だと思います。
アロマセラピーの臨床、研究に携わる上で嗅覚は五感の中で最も重要な感覚です。耳鼻咽喉科におけるアロマセラピーの歴史ですが、20年ほど前まではネブライザー療法における芳香目的が主で、その後扁桃摘出術後に対する疼痛緩和目的の報告が相次ぎ、最近は花粉症を中心とするアレルギー性鼻炎に対する報告が多く見られます。
また近年では全国の大学病院の耳鼻咽喉科医師を中心とした基礎的研究の動きも活発になりました。このことは今回の学会テーマである"基礎と臨床の調和と融合"として非常に有益な事で、この両者の連携なくしては今後のアロマセラピーの発展は望めません。そのためにも医療従事者・研究者を中心とする本学会員の横のつながり、すなわちネットワークづくりもまた肝要な課題だと思っています。
宿泊した横浜ニューグランドホテルは歴史あるホテルでカレーライスが有名です。
ランチは聘珍樓で魚滑の筵(真鯛の広東式刺身コース)を頂き、中でも大海老の煎り焼き塩卵炒め、日向鶏の陳皮香り蒸し焼き、そして栗入り馬拉醤(マーライジャン)炒飯が美味でした。
馬拉とはマレーシアのことで、(ハーコウ)といわれる香港、マカオでは添加物は一切使わず、小エビと塩だけの調味料に唐辛子、ニンニクを加えた調味料が馬拉醤です。そのうま味満載さをベースとした炒飯に所々に散りばめられた栗の甘味とコリコリした食感は格別でした。
昨年体調不良で行けなかったカップヌードルミュージアムで限定版カップヌードルを買い込んで帰途に着きました。