日本味と匂学会第45回大会 （金沢H23年10月）

金沢医科大学耳鼻咽喉科の三輪��喜教授が、石川県立音楽堂にて主催されました。今回は特に味覚の方で当院でも今後参考にしたい演題が多く見られました（以下敬称略）。

味覚障害患者に対するポラプレジング長期投与の味覚検査と自覚症状

兵庫医大　任 智美

血清亜鉛値は投与4週で優位な上昇を認め、最長投薬期間は6ヶ月。また3ヶ月ごとので味覚検査が望ましく、総平均値0.5以上上昇あれば改善とみなす。

当科における舌痛症患者の臨床統計

大阪厚生年金病院　前田 英美

濾紙ディスク法の平均4.0以上例や血清亜鉛の低値例が50％に認められた。鼓索神経が傷害されると三叉神経の過剰活性化や、疼痛閾値の低下をきたすためと思われる。

アルツハイマー病患者の味覚機能の検討

滋賀医科大学　小河 孝夫

嗅覚検査と同様に味覚検査でも本疾患で乖離（かいり：検知域値と認知域値との差）現象が見られた。また味質別では特に酸味と苦味が閾値上昇した。

感冒後嗅覚障害における原因ウイルス

名古屋市立大学医学部　鈴木 元彦

PCR法にてライノウイルスが最も多く検出され、異嗅症、無臭症の症例も認めた。

薬剤性嗅覚障害の臨床的検討

昭和大学横浜市北部病院　篠 美記

原因はターンオーバー障害、表面レセプター膜の透過性変化（アンホテリシンB）、細胞内エネルギー変換機構の障害、軸索伝導障害（コカイン）など。治療はテオフィリン、マグネシウム、フッ素化合物など。

嗅覚飲み会はワインを堪能しました。翌日訪れた千鳥寿司では、香箱蟹（写真：松葉かにのメスで外子、内子がある）、のどぐろ、アカニシ貝、白貝が美味しかったです。兼六園、21世紀美術館を訪ね、城下町と文化施設の融合が素晴らしい街だと感じました。

この度、朝日新聞より取材を受け、「香りはいざなう」という連載企画の第１回として当院での"匂いと香りのセミナー"が掲載されました。
匂い、香りに関する身近なテーマを深く掘り下げた上で、参加者に判りやすいように具体的に実践させているのが継続の秘訣との論調でした。これからも50回、100回を目標に続けていきたいと思います。