Sweet Smell 10・11月号

早いもので、木々が色づく秋となりましたが、いかがお過ごしですか?

今回は"ネブライザー(鼻・のどの蒸気噴霧治療)と香り"についてのお話です。

通常ネブライザーは無臭ですが、薬品によっては少し薬のような匂いがしたり、苦い味がするものもあります。そのため、当院では小児用のネブライザーにはバニラエッセンスを加えて、子供が抵抗無く治療を受けられるように工夫しています。おいしそうだからか、いい匂いだからか、子供には評判がいいようです。いい匂いだからといって濃度を濃くしてしまうと、逆に嫌な匂いになるため気をつけています。

エッセンシャルオイル(精油)でバニラの香りと言えばベンゾインですが、一度試しにとネブライザー液に混ぜてみました。しかし、粘度が高いためかうまく溶解しませんでした。施設によっては、ミントの香りをつけてあるところもありますが、これも好き嫌いが分かれるようです。香りの好き嫌いは個人差があるので、どの香りを選択するかは難しい問題です。

今回、日本医用エアロゾル研究会という学会に参加したところ、某大学附属病院では、ネブライザーのエアー噴出部に芳香剤を含んだアロマビーズを入れたアクリル管円形ケースを接続し、この中をエアーが通り抜けることで、ネブライザー溶液と一緒に混合し、エアロゾル噴出部に香りがつくという工夫を施しているそうです。濃度調整はアロマビーズの量または、精油の量を調整するしかないとのことですが、ON−OFFのスイッチにて調整可能であればと、思いました。

医療器械の会社にこのアロマケースの件を問い合わせてみましたが、まだ大学病院レベルでの実験段階で、クリニックにおける臨床実用化はまだ先のことだそうです。