- 自院で続けてきた産褥ケアとしてのアロマセラピー
- 柿木博成院長(柿木産婦人科)
- 日帰り、宿泊型などの産褥ケアに対して行政からの補助が始まってきており、自治体によって金額は異なるが大変有難いことだと感じている。精油の選択は柑橘系やラベンダーなどが主流だが、ネガティブな状況で使用する場合はプルースト効果で悪い場面が甦ることがあるので、日常で頻回に嗅ぐ香りではない精油を敢えて選択させている。
- 企業型保育園スタッフに対するストレス緩和の実践
- 永田江利加看護師(Blue Bee代表)
- 10名に施行し2名に改善が見られた。ストレス簡易調査票については厚生労働省のストレスチェック指標を基にした算出方法により評価した。企業から福利厚生として要望があった場合に職員の方々にアロマケアを導入していく、という図式で多くの企業と契約に繋げている。
- 鹿児島実業高校野球部専属アロマトレーナーの導入と14年間の活動報告
- 川畑真希子看護師(レイライン代表)
- 14年間活動して6回甲子園に出場。「奇跡のバックホーム」の元阪神の故横田慎太郎さんとのエピソードも披露。思春期の方々へスポーツアロマをするうえでコミュニケーション上、気を付けていたことはありますかとの質問に「沢山の時間を費やして関わり、話をよく聞いて一人一人と良好な関係を構築することが大切だと思う」と返答。
- 香気の持つ鎮痛・抗不安作用とその神経回路機序
- 柏谷英樹先生(鹿児島大学医歯学総合研究科 生体機能制御学講座統合分子生理学講師)
- 目を閉じて香りを嗅ぐことは視覚を遮断する事で、ほかの感覚をより鋭敏に感じることができるため脳科学的にも意味がある。Hummel(ドイツ・ドレスデン大学)が4種類の香り(バラ、レモン、ユーカリ、クローブ)を約2ヶ月間、1日2回イメージしながら嗅げば嗅覚障害の約7割が回復する(嗅覚刺激療法)と報告したが、もう少しバリエーションがあった方がいいと思う。特にカレーはたくさんのスパイスが入っているので勧めたい。焼酎「だいやめ」は熟した芋を使うことによってリナロール成分が増えてライチのようないい香りになる。
質疑応答ではリナロールを分娩時に使いたいのですが、リセットされる時間はどれくらいですかの問いに「実際のところは分かってないが、自身で実験した結果は10分くらいなので、香りを長時間嗅がせるよりも何分かごとに香りを飛ばしたほうが良いと思う」と。またコロナは中枢性のウイルス障害の可能性はありますかの問いには、「まだ分かっていないが、その可能性も否定できない」と各々コメントされました。
- においスティック検査(実技)
- 当院院長
- においスティックの四択問題1問(正解:みかん)と官能表現1問(正解:家庭用ガス)を実施しました。官能表現では現地会場からは青のりの香り、ストーブを消した時の臭い、ガソリンスタンドを通った時のにおい、新緑の森の中で赤ちゃんの頭を嗅いだにおい、ガス火で炊いたご飯に乗せた海苔の佃煮、冬の寒いときのストーブ、などの意見が出ました。一方ZOOM(チャット)では、焼肉屋さんに行った後に服に付いてしまったにおい、焦げたにおい、スパイシーな香りでウイスキーを飲みたくなる、などの意見でした。優勝は会場の部は「ポテトチップス青のり味を2〜3日開けておいて、食べようか迷うにおい」の柏谷英樹先生に、またオンラインの部では「ブリヂストン工場(久留米市)の前を通った時のにおい」の久保浩子さんに決定しました。
- 浮腫へのアプローチ〜様々な症状・疾患に合った施術法〜
- 川畑真希子看護師(レイライン代表)
- 講演25分の後、施術の実技を別会場で25分設けました。浮腫アプローチの時間配分は臀部、特に大転子部へのアプローチを長めにしている。キャリアオイルは主にホホバオイルを使用している。吸収するオイルは微量にしか使わず、スキンケアで使用する場合はニベアなど手に入りやすい基材で対応するよう指導している、などと述べられました。
今回はにおい検査と施術もオンライン配信するために、通常の地方会の如く学会本部事務局でなく、当方が「代替ホスト」となりZOOMを主導しました。そのため当院電カルのSEを3人も配置したのですが、開催直後しばらく入室できない、施術で一部映像が乱れた、におい検査でのチャット回答が会場スクリーンに表示されない、バッテリー不足にて発表用PCのコンセントを入れた途端に逆に電源が落ちてしまった、などのトラブルが出てしまいました。全て早急に対処・復旧できましたが、IT管理の難しさを痛感しました。
参加者数は総計65名で現地53名、オンライン12名でした。しかも65名のうち非会員が47名でした。会終了後は地方会としては珍しく懇親会も設けて12名参加でした。非会員の参加費を学会臨時理事会にかけてまで値引きしたのが奏功したのかもしれません。あとオンライン全盛の昨今ですが、まだまだ対面開催での直接的な人との触れ合いのニーズが高いのではと再認識した次第です。
来年は熊本で開催予定で、九州地方会の開催は初めてとなります。